「愛犬の痙攣の原因は?」
「何かの病気なのかな?」
「痙攣の対策・予防法は?」
愛犬が突然痙攣してしまうと飼い主さんは、びっくりしますよね。
何か、病気になっているのか心配になる方も多いと思います。
本記事では、犬の痙攣の原因として考えられる病気、対処法、治療、対策について解説します。
飼い主さんは、本記事を読むと愛犬の痙攣に対して詳しく理解することができ、痙攣時に正しい対処をすることができるようになりますので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の痙攣は脳の働きの異常により起こる
犬の痙攣は、脳の働きの異常が原因であり、体の筋肉のコントロールが取れていない状態になるため発生します。
自分の意志とは、関係なく筋肉が勝手に激しく動き、筋収縮してしまいます。
犬の痙攣は全身性に痙攣が起こる場合と体の一部分に痙攣が起こる場合があります。
それぞれについて解説していきます。
犬の全身性の痙攣
犬の全身性の痙攣発作では、意識を失っており、体全体に力が入って硬直していることが多いです。
以下のような症状が認められます。
■犬の全身性の痙攣
- 手足をピンと突っ張っている
- 足がガクガク震える
- 体を弓なりにそらす
- 足をバタバタする
- 顎を噛み締める
- よだれがでる
このような全身性の疾患では、体全体が収縮するので嘔吐や失禁をすることもあります。
犬の体の部分的に起こる痙攣
全身性の痙攣発作に対して、体の部分的に痙攣発作が起こる場合があります。
以下ような症状が認められます。
・体の前足、後ろ足だけ震える
・顔が一定のリズムでピクピクする
このように体の部分的に起こる痙攣では、意識がはっきりしている場合が多いです。
また、落ち着きがなくなってウロウロする、よだれが大量に出る、口をくちゃくちゃさせ、あくびを繰り返したりする場合なども脳の働きが異常になっており痙攣の前段階として認められる症状であるとも言われています。
犬の痙攣の原因として考えられる病気
犬の痙攣の原因として考えられる病気は非常に多いです。
また痙攣の原因の判断は難しく、動物病院で血液検査や画像検査をしても原因がはっきりせず、MRI検査をしなければいけない場合もあります。
犬の痙攣の原因として考えられる病気は以下の通りです。
■犬の痙攣の原因として考えられる病気
- てんかん
- 脳疾患(脳腫瘍、脳炎)
- 腎不全、肝不全
- 低血糖
- 熱中症
- 中毒・感染性疾患
それぞれについて解説していきます。
てんかん
てんかんは、脳にある神経細胞が異常に興奮しているため、自分の意識とは関係なく筋肉が収縮し痙攣してる状態です。
てんかんは、脳の構造的に異常があり痙攣発作が起こる場合と、脳の構造的には異常がないが痙攣発作が起こってしまう場合があります。
血液検査やレントゲン、エコー検査では異常が認められないことも多く、確定診断するためにはMRI検査が必要です。
てんかんは、痙攣の原因となる主な病気ですが、痙攣しているからといって、原因をてんかんと決めつけるのは、危険です。
てんかん以外でも痙攣発作を引き起こす病気があるので、それぞれ確認してみましょう。
脳疾患(脳腫瘍、脳炎など)
脳疾患も犬の痙攣を起こす原因となります。脳疾患も血液検査やエコー、レントゲン検査では、異常が認められないことが多くMRI検査が必要になります。
脳疾患も以下のようなさまざまな疾患が考えられます。
■犬の痙攣の原因となる脳疾患
- 脳腫瘍
- 水頭症
- 小脳低形成
- 脳炎
高齢の犬では、脳腫瘍ができており痙攣発作を引き起こしている場合があります。
また、若い犬では、痙攣発作が起こった場合には、水頭症や小脳低形成などの先天的な疾患を疑います。
さらに、中高齢の犬では、脳炎を起こしている可能性も考えなければなりません。
脳炎を起こしやすい犬種もいますので、紹介します。
■脳炎を起こしやすい犬種
- パグ
- シーズー
- チワワ
- ヨークシャーテリア
- パピヨン
これらの犬種で痙攣発作を認めた場合には、脳炎の可能性もありますのでMRI検査を行ってあげた方が良いでしょう。
腎不全、肝不全
腎不全や肝不全が進行した末期にも痙攣が認められます。
腎臓や肝臓は体の中の毒素を解毒するために非常に重要な臓器です。
しかし、腎不全や肝不全になってしまうと体の毒素が解毒できず脳にまで毒素が回ってしまいます。
これを尿毒症や高アンモニア血症と呼びます。
痙攣発作が起こる状態の腎臓や肝臓は末期であることが多く治療も対症療法しかできないこともほとんどです。
飼い主さんは、しっかりと定期的に健康診断に連れていき、腎臓や肝臓の異常に早く気づけるようにしておきましょう。
低血糖
低血糖により痙攣発作が起こっていることもあります。
体の血糖値が低すぎると、脳にエネルギーが行き渡らなくなり痙攣発作が起こってしまうためです。
低血糖の原因としては、以下のような疾患が考えられます。
■低血糖の原因疾患
- 肝不全
- アジソン病
- 腫瘍
- インスリンノーマ(膵臓の腫瘍)
- 敗血症
また疾患以外にも、ご飯を食べれていない飢餓状態では、低血糖になることが多いです。
特に子犬は、必要エネルギー量も多いため、飢餓状態では低血糖になってしまいます。
また、糖尿病の治療でインスリンを誤って大量接種した場合にも低血糖になってしまうので注意が必要です。
熱中症
熱中症で体が異常な高体温になると、脳へも傷害が与えられ、痙攣が引き起こされることがあります。
痙攣まで起こしている熱中症は、命を落とす可能性も非常に高いです。
https://ninkijouhouteikyou02.com/dog-heatstroke-convulsions/飼い主さんは、愛犬の体がいつもより熱くなっていると感じた場合は動物病院に連れていくようにしてください。
中毒・感染性疾患
中毒や感染性疾患によっても痙攣が起きることがあります。
キシリトールを誤食すると低血糖が引き起こされ、痙攣することもあります。
ぶどうやユリなどの植物を食べた際には、急性腎不全となり痙攣することもあります。
また、犬ジステンパーウイルスといったウイルス性の感染症でも痙攣が起こります。
飼い主さんは、しっかりと混合ワクチンを摂取して感染症を予防してあげるようにしてください。
飼い主さんすべき犬の痙攣への対処法4つ
飼い主さんは、愛犬に痙攣が起きた場合にどう対処すれば良いのでしょうか?
犬の痙攣の対処法では、気を付けるポイントがいくつかあります。
飼い主さんがすべき犬の痙攣の対処法は以下の4つです。
■犬の痙攣への対処法4つ
- 愛犬の身を守る
- 噛まれないように注意する
- 【動画撮影】愛犬の状態を把握する
- 痙攣が落ち着いた後は、体温と誤嚥に注意
この章では、飼い主さんがすべき犬の痙攣への対処法を解説していきます。
愛犬の身を守る
愛犬に痙攣が起こった場合には、愛犬の身を守ってあげることが大切です。
全身性の痙攣の場合は、意識を失っていることが多く、犬は自分の身を守ることができません。
飼い主さんは、近くから危険なものを撤去してあげたり、周りにクッションなどの緩衝材を置き頭を床や壁などにぶつけないようにしてください。
噛まれないように注意する
痙攣時の犬は意識がないので、普段噛まない子でも無意識的に力一杯噛んでしまう場合があります。
大怪我を負う可能性がありますので、触らない方が良いです。特に顔まわりは触らないようにしましょう。
どうしても移動させる必要がある時には、毛布などを使って噛まれないようにしっかりと注意していください。
【動画撮影】愛犬の状態を把握する
愛犬の安全を確保した後には、落ち着いて痙攣発作の状態を把握しておきましょう。
動画を撮影しておくと獣医師も痙攣発作の状態を把握しやすいです。
痙攣発作は、数分〜5分でおさまることがほとんどです。飼い主さんは、落ち着いて愛犬の状態を把握してあげてください。
5分たっても痙攣が止まらない場合などには、動物病院へ連れていくことをおすすめします。
痙攣が落ち着いた後は、体温と誤嚥に注意
痙攣発作では、全身の筋肉が収縮するので高体温になることが多いです。
もし愛犬の体を触って熱く感じるのであれば、涼しい場所に移動させたり水を飲ませたりしてあげてください。
また、よだれなどを拭き取ったり、嘔吐物を取り除いて誤嚥しないようにすることも大切です。
愛犬の状態を確認した後には、痙攣が続いた時間と痙攣が起こる前に何か変なものを食べていないか、異常な行動があったかどうかをメモしておくと良いでしょう。
犬の痙攣は動物病院に連れていくべき?
犬の痙攣は動物病院で診断・治療をする必要がある場合もあります。
また、重大な疾患が隠れている可能性もあるので注意が必要です。
そのため、愛犬が以下の項目に該当するようならば動物病院に連れていきましょう。
■動物病院に連れていくべき犬の痙攣
- 初めての痙攣
- 群発発作(1日に発作が2回以上)
- 重責発作(発作時間が5分以上)
- 痙攣の原因がはっきり診断されていない場合
- 薬を日常的に飲んでいるが、痙攣の頻度が増えてきた
初めての痙攣発作など痙攣の原因がはっきりと診断されていない場合や痙攣時間と頻度が多くなっている場合には、動物病院への受診をおすすめします。
犬の痙攣の治療・対策
犬の痙攣の治療は、原因に合わせて治療する必要があります。
- 低血糖や腎不全、肝不全による痙攣の場合
- 脳腫瘍による痙攣の場合
- てんかんによる痙攣
に分けてそれぞれ説明していきます。
低血糖や腎不全、肝不全による痙攣の場合
血糖値と腎臓、肝臓の機能を維持できるように対症療法をしていきます。
痙攣が起こった時のために痙攣どめの座薬を持っておくと安心です。
また、糖尿病の犬でインスリンの打ちすぎで低血糖になる場合には、獣医師と相談してインスリンの量を調節していく必要があります。
脳腫瘍による痙攣の場合
脳腫瘍は外科的な手術や放射線治療などで治療することもできる場合があります。
しかし、高齢であることや副作用などを考えて外科治療を選択されない方も多いです。
手術や放射線で積極的に治療をしない場合には、痙攣どめのお薬を日常的に内服して痙攣を予防していく方法が取られます。
しかし、脳腫瘍が大きくなったり脳炎の炎症が重症化すると痙攣どめだけでは、痙攣を止めれないこともあります。
てんかんによる痙攣
痙攣どめの内服を毎日継続してもらう必要があります。
そして、痙攣がうまくコントロールできるようになるまで微調整を繰り返していき、痙攣を3ヶ月に1回の頻度に抑えることが理想です。
このように犬の痙攣は、原因によってさまざまな治療方法が考えられます。
しっかりと痙攣の原因を把握できるように検査をしてあげましょう。
まとめ
本記事では、犬の痙攣について、原因、治療法、飼い主さんができる対処法について解説してきました。
愛犬に痙攣が起こってしまった場合には、焦らずに以下の対処法を実践するようにしてください。
■犬の痙攣への対処法4つ
- 愛犬の身を守る
- 噛まれないように注意する
- 【動画撮影】愛犬の状態を把握する
- 痙攣が落ち着いた後は、体温と誤嚥に注意
特に、犬の痙攣時の動画撮影を行い獣医師に正確な状態を伝えることが大切です。
飼い主さんは、犬の痙攣について詳しい知識を身に付け、正しく対処できるようになりましょう。