基本のケア

【犬の病気基本情報まとめ】体の部位別病気の症状と代表例を獣医が解説

犬を飼っている飼い主さんの中には、

飼い主 様

「犬の病気について、詳しく知っておきたい!」
「体の部位別に考えられる病気を教えて!」

と思われる方もいらっしゃると思います。

犬の病気の種類はさまざまありますが、体の部位別によく認められる異常な所見や代表的な病気があります。

今回は、犬の病気について、体の部位別に病気の症状と代表例について解説していきます。

飼い主さんは、犬を飼う上での知識として知っておき、愛犬に異変を感じたときに参考にしてみてください。

目の病気|症状と代表例

犬の目の疾患は、眼球の傷や炎症などが原因となる病気が多いですが、中には緊急性がある病気があり最悪の場合失明することもあるので、注意が必要です。

症状と代表疾患は以下の通りです。

目の疾患で認められる症状 

・目の充血
・目の痛み、開けづらそうにしている
・目の白濁、赤み

目の疾患の代表例

・緑内障
・白内障
・角膜炎、結膜炎
・チェリーアイ

病院での診察でよく見る病気は、角膜炎や結膜炎です。目の充血や痛みがあります。

また目の病気の中でも、緑内障は特に緊急性の高い病気です。

症状として目の充血、痛みの他にも目の大きさに左右差があらわれます。

獣医師 

緑内障、発症後数日で失明することもあるので、飼い主さんはすぐに動物病院に連れていきましょう。

耳の病気|症状と代表例

犬の耳の疾患は、耳の炎症や細菌感染、異物、腫瘍などの病気が多いです。

犬の耳の構造的問題もあり、垂れ耳の犬の場合には、耳の汚れが排出されづらくなります。

耳の疾患の症状と代表例は以下の通りです。

耳の疾患の症状

・耳を痒がる
・頭をふる、傾く
・耳が腫れる
・耳が臭い

■耳の疾患の代表例

・外耳炎
・耳血腫
・中耳炎

耳の病気としては、外耳炎が最も多いです。

外耳炎は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性皮膚炎に併発してみられることが多く、激しい痒みと腫れが耳に認められます。

犬の耳は、細菌やカビが繁殖して細菌性外耳炎を起こしやすいです。

体質的に外耳炎になりやすい子もいます。

獣医師 

耳の疾患に悩まされることが多い場合には、定期的に耳掃除をしてあげるようにしましょう。

口腔内疾患|症状と代表例

犬は人間と比べて、歯の本数が多いにも関わらず、口が小さいことや、歯石形成の速度が非常に早いことから口腔内の疾患が非常に多いです。

口腔内疾患の症状と代表例は以下の通りです。

口腔内疾患の症状

・口臭
・よだれ
・歯を痛がる
・くしゃみ、鼻水

口腔内疾患の代表例

・歯周病
・口蓋裂
・口腔内腫瘍

口腔内疾患では、圧倒的に歯周病になっている犬の数が多いです。

歯周病は、成犬の約80〜90%が歯周病になっていると言われているほどです。

歯周病は、口臭やよだれが症状として認められ、進行すると顎や頬の骨を溶かすこともあります。また、心臓病や肝臓、腎臓にも炎症を引き起こすため注意が必要です。

獣医師 

飼い主さんは、日頃から愛犬の口の中をチェックしたり歯磨きを行うようにして口腔内の健康を保つようにしましょう。

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呼吸器・心臓疾患|症状と代表例

呼吸器と心臓などの循環器は体に酸素を取り入れ、全身に送り込むために重要です。

こららの臓器に異常があると、体に酸素が行き通らないので、命を落としてしまうこともあるので注意が必要です。

呼吸器疾患の症状と代表例は以下の通りです。

呼吸器疾患で認められる症状

・呼吸が荒くなる
・舌の色が真っ青になる
・心臓の音が大きくなる
・散歩や運動をしたがらない
・息切れする

呼吸器・心臓疾患の代表例

・肺水腫
・肺炎
・僧帽弁閉鎖不全症
・動脈管開存症
・気管虚脱

最も気をつけなければならない疾患は、肺水腫や肺炎です。

これらの疾患は、呼吸が荒くなることが非常に多く、舌の色も通常のピンク色から青紫色に変化し、命を落とすことが多い疾患です。

獣医師 

飼い主さんは、いつもより呼吸があらいなと感じる場合は、すぐに動物病院に連れていくようにしてください。

骨・関節疾患|症状と代表例

骨・関節疾患は高齢の犬でよく認められる関節炎の他にも膝の病気で手術が必要な場合もあります。

重症の場合だと発熱や食欲不振などの症状も出てきますので注意が必要です。

骨・関節疾患で認められる症状

・足をびっこひく
・足をあげたまま歩く
・食欲不振(重度関節炎)
・発熱(重度関節炎)

■骨・関節疾患の代表例

・関節炎
・関節リウマチ
・膝蓋骨脱臼
・前十字靭帯断裂
・股関節形成不全
・大腿骨頭壊死症

特に若い子でも気をつけてほしい病気が膝蓋骨脱臼や大腿骨頭壊死症です。

生後半年以下でもみられる場合があり、手術が必要な場合があります。

獣医師 

少しでも足を痛がるといった症状がみられた場合には、動物病院を受診しましょう。

血液疾患|症状と代表例

血液疾患は、主に貧血が症状としてみられることが多いです。

貧血になってしまうと体の中で、酸素を運ぶことができなくなってしまうため、元気がなくなり重症だと意識もぼんやりしてきます。

血液疾患の症状

・元気低下
・食欲不振
・可視粘膜蒼白

血液疾患の代表例

・免疫介在性溶血性貧血
・免疫介在性血小板減少症
・リンパ腫
・白血病

特に免疫介在性の病気やがんが犬の血液疾患では多く認められます。

免疫介在性の場合は、ステロイドや免疫抑制剤の投与を行い、血液のがんの場合には、抗がん剤投与を行うか検討します。

皮膚疾患|症状と代表例

皮膚疾患は、犬の疾患の中でも非常に多いです。動物病院で診察していると毎日必ず1件以上はくる病気です。

皮膚病を再発しやすい犬や繰り返す子もいるので、そういった子はこまめな受診が必要になってきます。

皮膚疾患の症状

・皮膚の痒み
・脱毛
・瘡蓋のようなものができる

皮膚疾患の代表例

・アレルギー性皮膚炎
・細菌性皮膚炎
・マラセチア性皮膚炎
・皮膚腫瘍

皮膚疾患で圧倒的に多いのが、アレルギー性皮膚炎細菌性皮膚炎です。

アレルギー性皮膚炎では、アトピーであったり、食物アレルギーが原因である場合が多いです。細菌性皮膚炎の場合には、抗生剤を飲む必要があります。

獣医師 

飼い主さんは早めに動物病院を受診するようにしましょう。

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脊髄・神経疾患|症状と代表例

脊髄・神経疾患は、激しい痛みが症状としてあらわれます

もし、抱っこしようとしてキャンとないたり、愛犬がその場から動けなくなっているようならば注意が必要です。

脊髄・神経疾患の症状

・痛がる
・腰が曲がっている
・首をあげれない
・後ろ足が立てない

脊髄・神経疾患の代表例

・ヘルニア
・進行性脊髄軟化症

最も多いのは、首や腰のヘルニアです。特にダックスフンドのような胴が長い犬種は注意しましょう。

また、愛犬の後ろ足が立てない場合には、ヘルニアの他に進行性脊髄軟化症といった病気も考えられ、命に関わる場合があります。

獣医師 

飼い主さんは、上記のような症状を認めた場合にはすぐに動物病院に連れていくようにしてください。

ホルモン疾患|症状と代表例

ホルモン疾患は、中高齢の犬でみられる場合がほとんどです

嘔吐や下痢などの激しい症状が出ることはまれであるため、飼い主さんとしてもなかなか気づきづらい病気です。

ホルモン疾患の症状

・多飲多尿
・脱毛
・お腹が膨れる

ホルモン疾患の代表例

・クッシング症候群
・アジソン病
・甲状腺機能低下症

特に多い病気としては、クッシング症候群と甲状腺機能低下症です。

このような病気の場合は、多飲多尿と毛が薄くなるといった脱毛が認められます。

獣医師 

特に多飲多尿はよく認められる症状ですので、普段から飲水量などこまめにチェックするようにしましょう。

消化器の病気|症状と代表例

消化器疾患は、病院で診察していると必ず1日一件以上は診察する病気です。

症状としては、軟便から、激しい嘔吐下痢などさまざま認められます。

消化器の疾患で認められる症状

・嘔吐 
・下痢
・血便
・食欲低下
・お腹痛そうにする
・しぶり、便秘

消化器の疾患の代表例

・膵炎
・胃腸炎
・腸閉塞
・炎症性腸疾患
・胆嚢粘液嚢腫
・胃拡張・捻転

消化器の疾患として、最も多いのは胃腸炎です。胃腸炎は、症状の重症度にもよりますが、下痢や軟便、嘔吐がよくみられる症状です。

また、膵炎、胃拡張・胃捻転などの病気は緊急性が高く命に関わることもあります。

獣医師 

飼い主さんは、愛犬のうんちや日頃の状態を確認して異変があったらすぐに動物病院に連れていきましょう。

嘔吐の原因や、考えられる疾患については以下の記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

【嘔吐物で判断!】犬の嘔吐の原因と対処法、考えられる病気を解説!愛犬が嘔吐している場合は、一度この記事をご覧下さい。「嘔吐の原因と対処法」「考えられる病気」について解説しています。実は犬は人間より嘔吐をしやすい動物です。しかし生理現象から命を落とす可能性がある病気まで原因は様々です。嘔吐の原因について獣医師がわかりやすく飼い主様に伝授致します。...

脳の病気|症状と代表例

脳の疾患は、診断が難しい病気です。MRI検査を行わないと脳の精査はできません。

そのため、一般的な町の動物病院からさらに紹介される病院に行くことになります。

検査までに時間がかかりますし、脳疾患は命に関わる場合もあるので注意が必要です。

■脳疾患で認められる症状

・痙攣   
・斜頸
・斜視
・問題行動
・意識が消失気味になる
・同じところを回り続ける
      

脳疾患の代表例

・認知症
・てんかん
・脳炎
・脳腫瘍

脳疾患では、てんかんが最も多くみられる印象です。

てんかんとは、脳の構造に異常はないが、けいれん発作などが出てしまう状態のことです。

この場合の治療としては、てんかんを抑える薬を毎日飲む必要があります。

ただ、MRI検査を行わずにてんかんと決めつけて治療方針を決めていると脳炎や脳腫瘍を見逃すことになりかねません。

そのため、高齢な場合など麻酔リスクが高い場合を除いてMRI検査をおすすめします。

以下の記事で、痙攣を引き起こす病気について解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

【獣医執筆】犬の痙攣の原因や考えられる疾患、対処法3つを徹底解説!愛犬が痙攣(けいれん)を起こしたらどうすればいいの?この記事では「痙攣の原因と対処法」について解説しています。実は犬の痙攣は、各原因により脳の働きの異常が起こり、体の筋肉のコントロールが取れていない状態になるため発生しているのです。犬の痙攣について獣医師が伝授致します。...

感染症の病気|症状と代表例

犬の感染性の疾患は、特に子犬のような免疫力が弱い子では注意が必要です。

中には、命を落とす可能性がある病気もあるので注意しましょう。

■犬の感染症で認められる症状

・咳
・くしゃみ
・発熱
・下痢
・嘔吐

■犬で認められる感染症

・ケンネルコフ
・犬パルボウイルス
・犬ジステンパーウイルス
・レプトスピラ

混合ワクチンの接種が一般化してきたため、犬パルボウイルスやジステンパーウイルスなどの疾患は近年では認められなくなってきましたが、レプトスピラやケンネルコフといった病気には、注意が必要です。

こうした病気は、他の犬にも容易に感染していきます。

獣医師 

感染症が疑われるような症状を認めた場合には、同居犬や他の犬と接触させるのを控え、隔離させておきましょう。

泌尿器疾患|症状と代表例

泌尿器疾患も子犬から、老犬に至るまで注意が必要です。

腎不全になってしまうと、寿命が短くなってしまいますし、点滴通院を行ったり自宅で点滴を行う必要も出てきます。

泌尿器疾患の症状

・おしっこが出ない
・おしっこが薄い
・おしっこの量が多い
・血尿
・頻尿
・おしっこが臭い
・おしっこがキラキラしている

泌尿器疾患の代表例

・腎不全
・膀胱炎
・尿路結石

高齢犬では、腎不全に注意しなくてはなりません。腎不全は、完治することができない病気なので、生涯に渡って対症療法が必要になります。

おしっこが薄い、おしっこの量が多いと感じた場合には、早めに動物病院に連れていくようにしてください。

また、若い子でも膀胱炎や尿路結石ができることがあります。

獣医師 

結石が詰まっておしっこが出ないと尿毒症で命を落とすことがありますので注意しましょう。

生殖器の病気|症状と代表例

犬の生殖器疾患の中では、緊急性のある病気として子宮蓄膿症が挙げられます。

子宮蓄膿症は、子宮に膿が溜まってしまい命を落とす可能性が非常に高いため緊急手術となることも多いです。

他にも乳腺腫瘍や精巣腫瘍など生殖器の疾患は多々あります。

症状や疾患の代表例は以下の通りです。

生殖器疾患の症状

・陰部から膿が出る
・精巣が腫れる
・乳腺にしこりがある

生殖器疾患の代表例

・子宮蓄膿症
・精巣腫瘍
・乳腺腫瘍
・卵巣腫瘍

生殖器疾患は、避妊・去勢手術を行うことで防げます。

獣医師 

飼い主さんは、防げる病気のリスク、子供を産ませてあげたいかどうかなどをしっかりと考え、避妊去勢手術を行うかどうかを決めてあげましょう。

避妊・去勢については以下の記事を参考にしてみてください。

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ストレス性の病気|症状と代表疾患

犬は、ストレスによってもさまざまな症状がみられることがあり、病気との鑑別が必要です。

ストレス性の疾患としては以下の通りです。

ストレス性疾患で認められる症状

・脱毛
・自傷行為
・嘔吐、下痢
・攻撃行動
・無駄吠え
・血便、血尿  

ストレスにより引き起こされる疾患

・膀胱炎
・胃腸炎
・ストレス性の脱毛

何か症状があった場合には、動物病院に連れて行って検査をしてもらうことが大切です。

人間と同じく、ストレスで嘔吐、下痢、血便、血尿を起こすこともありますので、病気かどうかをしっかり検査して判断してあげるようにしましょう。

犬のストレスについては以下の記事解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

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まとめ

今回は、犬の病気について、体の部位別の病気を紹介し、よくみられる症状と代表例について解説してきました。

犬の病気は多数ありますが、体の部位別に見るべきポイントや代表的な疾患があります。

中には、緊急性がある重大な病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。

飼い主さんは、しっかりと愛犬の様子を確認して、受診の必要があるならば、早めに動物病院に連れていくようにしましょう。

犬の健康についての記事はこちら

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