基本のケア

犬の食事・ペットフードの基本情報まとめ|量、回数などの与え方を徹底解説

愛犬の食事に悩む飼い主さんは、こんなふうに思ったことはありませんか?

飼い主 様

「犬の食事の量や回数はどのくらい?」

「ドッグフードにはこだわった方がいいの?」

「選び方を教えて?」

犬の食事は、人間と同様にとても重要であり、愛犬の健康維持のために飼い主さんが考えてあげるべきポイントの1つです。

本記事では、犬の食事の選び方や量、回数などの与え方について解説していきます。

獣医師 

飼い主さんは、この記事を最後まで読んで愛犬に最適な食事を提供してあげるようにしましょう。

犬の食事の重要性

犬の食事には、以下のような役割があります。

■犬の食事の重要性

・犬の健康と生命の維持
・飼い主さんとの信頼関係を築く
・犬に幸福感と、安心感を与える

食事から栄養素を摂取することにより、愛犬の健康的な生活を支えるだけでなく、食事を通して飼い主さんとコミュニケーションをとることで、信頼関係を築くことができます。

また、野生的な本能を持つ犬にとって、ご飯を食べるという行為は犬に幸福感や安心感を与えることも可能です。

その結果、食事を与えることで肉体的な健康の維持の他にも、精神的な健康や行動、性格にまで良い影響を与えることができます。

犬の食事・ペットフードの種類

犬の食事・ペットフードの種類としては、主に以下のようなものが考えられます。

■犬の食事・ペットフードの種類

・総合栄養食
・間食
・そのほかの目的食

それぞれについて詳しく解説していきます。

総合栄養食

総合栄養食は、水とその食事だけで健康が維持できる食事です。毎日の主食としてつかってあげましょう。

AAFCOと呼ばれる米国飼料検査官協会が管理している栄養基準を満たしていることが条件です。

獣医師 

飼い主さんは、愛犬の主食を選ぶ際には、総合栄養食と記載されているものを選んであげるようにしましょう。

総合栄養食は、さらに水分量や加工方法によって、以下のような種類に分類されます。

■総合栄養食の種類

・ドライフード
・セミモイストフード
・ウェットフード

表にまとめると以下のような、特徴や注意点があります。

種類 水分 特徴 注意点
ドライ 3~11% ・コストが低い
・開封後でも常温保存が可能
・少量でカロリーを摂取できる
・水分摂取が必要
・肥満の原因になる
セミモイスト 25~35% ・コストが低い
・嗜好性が高い
・保存料が多い
・肥満の原因になる
ウェット 72~85% ・嗜好性が高い
・水分を摂取できる
・開封後の劣化が早い
・コストが高い

それぞれについて、利点や注意点がありますので飼い主さんは、愛犬にあった総合栄養食を見つけてあげるようにしましょう。

間食

間食は、おやつやスナックとして、愛犬に与えるものであり、スナックやジャーキーなどがあります。これらの間食は、嗜好性を重視して作られていますので、愛犬は美味しく食べてくれるでしょう。

しかし、脂肪分や塩分が含まれていることもあるため、主食として与えることはお勧めしません。

また、人間の食事をおやつとして与える際には、犬が食べられないものもあるので注意してください。

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その他の目的食

そのほかの目的食には、一般食、副食、サプリメントの他にも病気になった時に食べる療法食も含まれています。

これらの食事も、栄養バランスが不十分である、もしくは、療法食のように特定の栄養素を制限している場合がありますので、主食には適していません。

犬の食事で摂取すべき栄養素6つ

犬が食事で摂取すべき栄養素は以下の6つです。

犬の食事で摂取すべき栄養素6つ

・水
・炭水化物
・タンパク質
・脂質
・ビタミン
・ミネラル

それぞれについて詳しく解説していきます。

水は、犬の体重の60%、除脂肪体重の70%を占めていると言われています。

水は、体の中で栄養素や代謝産物を運んだり、体温をコントロールしたりする他に、血液、リンパ液、体液の主成分であるなど重要な物質です。

もし体の中の水がなくなってしまうと、10%の脱水でも動物は命を落としてしまうと言われるほど重要です。

獣医師 

食事の中には、多少なりとも水分が含まれています。

しかし、食事だけでは水分を補うことは難しいので飼い主さんは、愛犬にしっかりと水分補給をさせてあげるようにしましょう。

炭水化物

小麦や米、芋類、野菜類には、炭水化物が含まれています。

炭水化物は「糖質」「食物繊維」に区別され、糖質は体の中のエネルギーへの変換、食物繊維は消化管の健康保持に役立ちます。

ただし、炭水化物をとりすぎると、肥満や糖尿病になったり、食物繊維をとりすぎると軟便や下痢を起こすこともあるので注意が必要です。

タンパク質

タンパク質は、体の筋肉やホルモン、血液などの構成要素や成分となります。

犬は、肉食動物に近い生き物ですので、良質なタンパク質を与えてあげることは、愛犬の健康を維持する上で非常に重要です。

しかし、過剰なタンパク質は、肝臓や腎臓に負担をかけてしまうので、腎臓病や肝臓病の犬にタンパク質を与える時は注意しましょう。

脂質

脂質は、効率の良いエネルギー源であり、体温調節や脂溶性ビタミンの運搬、ホルモンや胆汁の合成など愛犬の生命活動には欠かせません。

特に犬におすすめしたい脂質として、ω3脂肪酸とω6脂肪酸が挙げられます。

これらの脂肪酸は、関節や皮膚、認知機能などの健康の維持に重要です。

しかし、脂質もとりすぎると肥満やさまざまな病気の原因となりますので適量与えることが大切です。

ビタミン

ビタミンは、微量で愛犬の体の健康を守ってくれる成分です。

特に体の中の慢性炎症を抑える抗酸化作用を持つビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどは、ぜひ普段の食事から摂取してほしいビタミンです。

しかし、それぞれのビタミンで過剰症が報告されているので、ビタミンの過剰摂取には気をつけてあげるようにしましょう。

ミネラル

ミネラルは、骨や歯などの組織の形成や細胞外液の電解質、神経の伝達などの機能の調節を行います。

ミネラルもビタミン同様にエネルギー源になりませんが、体内のさまざまな化学反応や酵素反応の活性化に重要です。

しかし、腎臓病の犬にリンをあまり与えない、心臓病の子では、ナトリウムを制限してあげるというように、それぞれの犬に適正量があります。

健康な子の場合は、市販のドッグフードに含まれているミネラル量で問題ありませんが、愛犬が何らかの病気を抱えている場合は、与える食事の成分を獣医師に確認しておいた方が安心です。

犬の食事の選び方

獣医師 

ここからは、犬の食事の選び方について解説してきます。

犬の食事の選び方としては、以下の点を重視してあげると良いでしょう。

犬の食事の選び方

・総合栄養食を選ぶ
・フードのタイプを選ぶ
・原材料で選ぶ
・ライフステージで選ぶ

それぞれについて詳しくみていきます

総合栄養食を選ぶ

まず、犬の主食としては、総合栄養食を与えるようにしましょう。

間食などやその他の目的食を与えてしまうと栄養素のバランスが乱れることに繋がります。

市販のドライフードの場合は、ほぼ全て総合栄養食であることが多いのです。

獣医師 

しかし、ウェットフードや缶詰の中には総合栄養食でないものも存在するので製品のパッケージなどをよく確認して総合栄養食かどうか判断するようにしましょう。

フードのタイプを選ぶ

総合栄養食の中で与えるフードのタイプを決めてあげましょう。

ドライフード セミモイストフード ウェットフード
公式サイトで購入する 公式サイトで購入する 公式サイトで購入する

ドライフードかウェットフードもしくは、セミモイストのフードの3種になるかと思います。

この中でもおすすめは、ドライフードです。

ドライフードは、カロリーを多く含んでいるため少量でも十分な栄養素と満腹感を与えることができるコスパの良いフードであると言えるでしょう。

また、歯石が付きづらい点もメリットです。

ウェットフードやセミモイストのフードでは、多く与える必要があったり、歯に付着して口臭の原因となったりする場合があります。

獣医師 

水分補給をさせてあげたいなどの理由が特にないのであればドライフードがおすすめです。

原材料で選ぶ

原材料は、犬に与える食事を選ぶ際に最も見るべきポイントです。

特に原材料のタンパク質はよく見ておきましょう。

「チキン」「サーモン」「ラム」など肉や魚の名前をしっかりと記載しているフードを選んであげると安心です。

ドッグフードの中には、原材料に〇〇副産物やチキンミールなどといった表記をしているものもありますが、あまり良質なタンパク質とは言えないでしょう。

また、添加物も見ておく必要があります。

甘味料や着色料など不要な添加物が含まれているものは、愛犬の健康に悪影響のため選ばないようにしてください。

ライフステージで選ぶ

犬の成長段階、ライフステージで食事を選んであげることも大切です。

子犬と成犬、シニア犬のそれぞれの成長段階で必要なカロリーや栄養素のバランスが変化してきます。

犬のそれぞれのライフステージ別での選び方のポイントは以下の記事で紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。

【子犬・成犬・シニア犬】ドッグフード選びのポイントを獣医が解説 飼い主 様 「犬の成長段階に合わせてドッグフードを変更すべき?」「ドッグフードの選び方のポイントは?」 犬を飼っている方の中に...

犬の食事の与え方

犬の食事の量や回数も愛犬が健康を維持しながら、快適な生活を送ってもらうためには重要なことです。

獣医師 

ここからは、犬の食事の量と回数について解説していきます。

犬の食事の量の目安

犬の食事の量で悩む飼い主さんも多いのではないかと思います。

健康な子の場合には、最初はドッグフードのパッケージに書かれている量を与えてあげても良いですが、ドッグフードのパッケージに書かれている給餌量はあくまで目安と考えてあげるようにしましょう。

その他にも体重とドッグフードの100gあたりのカロリーが分かれば、計算式によって1日に与えることができる給餌量を求めることができます。

計算式は以下の通りです。

1日に与えるドッグフードの適正量(g)

①30×(体重)+70=RER (安静時のエネルギー要求量)
②RER×活動係数(以下を参照)=DER(1日に必要なエネルギー量)
③DER÷(100g当たりのカロリー÷100)=1日に与えるドッグフードの適正量(g)

活動係数は以下の通りになります。

犬の状態 活動係数
成犬 1.8
去勢・避妊 1.6
老犬 1.4
肥満 1.4
減量中 1.0
安静 0.8~1.0

例えば5kgの去勢避妊済の健康な成犬に100g当たり300kcalのドッグフードを与えていた場合で計算してみると

①30×5+70=220
②220×1.6=352
③352÷(300÷100)=117g

となり、1日に与えることができるドッグフードの量は117gだとわかります。

しかし、基礎代謝や運動量、活動性には個体差があると思いすので、体格や体重の変化をみてご飯の量を少しずつ愛犬に適正な量に調節してあげるようにしましょう。

獣医師 

飼い主さんからご飯の量を聞かれることが多いのですが、以下のような表を参考に体重や触り心地を基準に判断しています。

飼い主のためのペットフード・ガイドライン 〜犬・猫の健康を守るために〜」(環境省) を加工して作成

BSC(ボディコンデションスコア)が3程度が最も理想的な体重、体格ですので、飼い主さんも上記の表を参考にしてみて、ご飯の量を調節してみてください。

犬の食事の回数

犬の食事の回数としては、成犬の場合1日2回をおすすめしています。

決まった時間にご飯を与えると、排便リズムや空腹感をコントロールできるためおすすめです。

また、犬は、空腹時間が長いと嘔吐をしてしまうことが多々あります。

排便リズムや空腹感ストレス、嘔吐などをコントロールするためにも犬の食事の回数は2回と一定に決めてあげるようにしましょう。

また、おやつなどの間食も与えてあげても良いですが、1日の総摂取カロリーの10%以内が理想的です。

獣医師 

与えすぎると肥満や糖尿病の原因になることも考えられますので注意しましょう。

犬の食事の保存方法

犬の食事では、劣化したフードを与えないためにも保存方法に注意が必要です。

ウェットフードの場合は、冷暗所の冷蔵庫で保存し与える前に温めることをおすすめします。

ドライフードは、密閉容器に入れて乾燥した清潔な場所においておきましょう。

冷蔵庫に保存する方もいますが、結露によりカビや細菌の繁殖場所になるためおすすめしません。

また、ドライフードは開封後1ヶ月以内には食べ切れるように量を考えて購入するようにしてください。

獣医師 

あまりにも劣化したフードを与えてしまうと体調不良の原因となるので注意しましょう。

まとめ

本記事では、犬の食事・ペットフードの基本情報と量や回数などの与え方について解説してきました。

犬の食事は、健康維持や飼い主さんとのコミュニケーションやストレス解消など精神的にも安心感を与えることができるため、愛犬には良質なものを提供すべきです。

飼い主さんは、本記事を読んで、愛犬に適切なドッグフードを見つけてあげるようにしましょう!

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