基本のケア

【肥満対策】犬のダイエットに効果的な食事のポイント5選とリスクや予防法を解説

愛犬が少しぽっちゃりしてきたり、肥満傾向にあると言われた場合に、飼い主さんはこんな風に思うのではないでしょうか?

飼い主 様

「愛犬の肥満が気になる」

「食事で気をつけるべきことは何?」

「肥満になると長生きできない?」

少しぽっちゃりしている方が可愛らしいこともありますが、そのまま肥満になってしまうとさまざまな病気を引き起こします。

獣医師

本記事では、犬の肥満に対する食事のポイントと肥満のリスク、予防法について解説していきます。

飼い主さんは、本記事を読んで食事を見直し、愛犬が肥満にならないようにしてあげてください。

犬の肥満の原因は主に2つ

犬の肥満の原因は、食べ過ぎと病気の主に2つが考えられます。

これらを難しい言葉で以下のようにあらわします。

  • 原発性肥満(食べ過ぎ)
  • 二次性肥満(病気)

ここからは、それぞれについて詳しく解説していきます。 

 原発性肥満(食べ過ぎ) 

原発性肥満は主に食べ過ぎにより起こる肥満です。

その原因の多くは、愛犬の食事を管理している飼い主さんにあることがほとんどです。

飼い主さんは、以下の項目に当てはまっているか考えてみてください。

ご飯の量を測ってからあげていない

✅ 人間の食事をあげている

おやつをたくさんあげている

脂肪分が多いような高カロリーなドッグフードをあげている

散歩や運動を行っていない

何か1つでも当てはまる項目があるならば、飼い主さんは、無自覚に愛犬を肥満にさせているかもしれません。

獣医師

飼い犬の中の4匹に1匹は肥満であるという調査結果もありますので、飼い主さんは愛犬が肥満でないかどうかしっかりチェックしてあげましょう。

愛犬の肥満ェックは下記の章「愛犬が肥満になっているかチェック!」で解説していますので、参考にしてみて下さい。

 二次性肥満(病気)

愛犬におやつもあげていないし、正確に分量を測ってからあげている、散歩などの運動も行っているのに肥満になっている場合は、病気の可能性も考えなければいけません。

病気によって肥満になっている状態を二次性肥満と呼びます。

犬に肥満を引き起こす病気としては「クッシング症候群」「糖尿病」「甲状腺機能低下症」が考えられます。

愛犬がこのような病気になっている場合には、症状として

・飲水量が増える

・排尿量が増える

・脱毛

・食事量はいつも通りなのに太る

といった症状がみられることが多いです。

飼い主さんは、愛犬に何か異変がないかしっかり確認してみて、一度動物病院で検査してもらうことをおすすめします。

犬の肥満に対する食事のポイント5選

肥満になる主に2つの原因のうち、飼い主さんが対処できるのは、食べ過ぎによる肥満(原発性肥満)です。

愛犬が食事を食べ過ぎることにより摂取カロリーが増え、肥満になることが考えられます。

そのため、飼い主さんは肥満傾向にある犬には、しっかりとした食事管理が必要になってきます。

飼い主さんが抑えるべき食事のポイントは以下の5点です。

  1. 適切なカロリーを与える
  2. 食事内容を工夫する
  3. ライフステージに合わせて食事を変更する
  4. 食事量を一定にして少量頻回で与える
  5. おやつを与えない or 量を減らす

それぞれについて詳しくみていきましょう。

適正なカロリーを与える

肥満の犬における食事の対策として最も重要なことは、食べ過ぎて過剰になっている摂取カロリーを減らしてあげることです。

しかし、人間のダイエットと同様に過度の食事制限はストレスのかかるものですし、健康にもよくありません。

過度に食事を減らしすぎると、必要な栄養素を充分に摂取できず栄養不足になる可能性もあります。

肥満の犬の食事では、適正なカロリーを与えられる量のドッグフードを与えてあげるようにしましょう。

ドッグフードのおよその適正量は、愛犬の体重とドッグフードのパッケージに記載されている100gあたりのカロリーが分かれば求めることができます。

■1日に与えるドッグフードの適正量(g)【肥満リスクがある場合】

①30×(体重)+70=MER (1日あたりのエネルギー要求量)

②MER÷(100g当たりのカロリー)÷100=1日に与えるドッグフードの適正量(g)

*肥満リスクがあり減量が必要な犬のエネルギー係数を1.0として考えた場合

MER=1日あたりのエネルギー要求量

例えば5kgの犬に100g当たり300kcalのドッグフードを与えていた場合で計算してみると

(1)30×5+70=220(詳細はこちら)

②220÷300÷100=73g

となり、1日に与えることができるドッグフードの量は73gだとわかります。

獣医師

飼い主さんは、1日に与えることができるドッグフードの適正量を食事回数で割って一回量与えてあげるようにしてください。

この時、目分量ではなく、しっかりと計測してから与えることが大切です。

しかし、この計算式では、犬がどれだけカロリーを吸収するのか、基礎代謝がどれくらいなのかまでは考慮していないため、あくまで目安の数値だと思ってください。

飼い主さんは、愛犬の体格や体重の経過をみて与えるドッグフードの量を調節してあげるようにしましょう。

食事内容を工夫する

愛犬の肥満に対しては、食事内容を工夫してあげることが大切です。

肥満の犬には、

  • 高タンパク食
  • 高繊維
  • 低脂肪
  • 低炭水化物

が特徴のフードを与えてあげることを意識しましょう。

低脂肪、低炭水化物でカロリーを抑えつつ、高タンパク質と高繊維で筋肉と満腹感の維持を行うことが大切です。

これらの特徴を満たしているのが、減量用のドッグフードです。

動物病院で相談すると減量用のドッグフードを処方してくれる場合がありますので、飼い主さんは一度動物病院を受診することをおすすめします。

獣医師

また、普段の食事のトッピングとして、ささみ、豆腐、おからなど低脂肪だが高タンパク質、高繊維な食べ物を入れてあげても良いでしょう。

これらの食事は、少量でも腹持ちがよく、さらに味も美味しいので愛犬も喜んで食べてくれます。

愛犬にストレスを感じさせない減量方法を心がけていきましょう。

成長に合わせて食事を変更する

愛犬の食事は、犬の成長、ライフステージに合わせて変更するべきです。

子犬期のドッグフードは、成長期のエネルギー要求量に応えるため、高カロリーであることが多いです。

そのため、成犬になっても同じような食事を続けていると肥満傾向の犬になってしまいます。

また、犬は去勢や避妊手術を行うと、性ホルモンに使われていたエネルギーが使われなくなりますので、太りやすくなってしまいます。

避妊、去勢の後の摂取カロリーは食事量を減らしたりして制限してあげると良いでしょう。

さらに6〜7歳以上のシニア期や高齢期になると基礎代謝が落ち、寝ていることも増加するので体内の消費カロリーは少なくなります。

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こちらのドッグフードは運動量が減ってきているシニア犬にも消化しやすく作られており『低カロリー低脂質・グレインフリー・グルコサミン配合』ですのでおすすめです。

飼い主さんは食事から得られる摂取カロリーが過剰になっていないかどうか体重をみつつ判断してあげるようにしてください。

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食事量を一定にして少量頻回で与える

①で決めた1日に与えるドッグフードの量は変化させずに、食事回数を少し増やしてあげて少量頻回でご飯を与えることも肥満予防には良いでしょう。

犬は空腹感を感じるとストレスを感じてしまい、代謝が下がってしまいます。

代謝が低下すると痩せづらくなることも考えられますので、程よく満腹感を感じさせてあげることが大切です。

人間と同様に、少量をゆっくり食べることにより、空腹感を紛らわしダイエットにも成功しやすくなりますので、食事回数を1日5回程度に増やして三時間おきにご飯を与えるなどの工夫を行うようにしてあげてください。

おやつや人間の食事を与えない

犬の肥満の原因がおやつや人間の食事であることは非常に多いです。

おやつや人間の食事は、愛犬も美味しく食べてくれますが、脂質も多く含んでおり、愛犬にとっては過剰なカロリー摂取に繋がることがほとんどです。

飼い主さんは、なるべくこのような食事を与えないようにしてください。

また、自分は気をつけていても家族があげてしまうという状況もあります。

しっかりと家族で話して、愛犬のダイエットを成功させるようにしてあげましょう。

愛犬が肥満になっているかチェック!

愛犬が肥満になっているかどうかは、BCS(ボディ・コンディション・スコア)と呼ばれるもので判断します。

BCS3が理想的な体重、体格とされており、BCS4、BCS5は肥満であると言えます。

飼い主のためのペットフード・ガイドライン 〜犬・猫の健康を守るために〜」(環境省) を加工して作成

体重は犬種や個体差によっても変動するため、BCSを用いて肥満を判断することがおすすめです。

しかし、見た目や触り心地などかなり主観的なものになりますので、一度動物病院で愛犬が肥満になっていないかどうか獣医師さんに触ってもらって判断してもらうことをおすすめします。

犬の肥満と病気のリスクや寿命の関係性

犬の肥満はさまざまな病気のリスクになり、寿命にも影響を与えます。

犬の肥満と病気のリスクや寿命との関係性は以下の通りです。

  • 心臓、呼吸器への負担
  • 関節、腰への負担
  • 糖尿病、膵炎のリスク
  • 寿命が短くなる

それぞれについて詳しく解説していきます。 

心臓、呼吸器への負担

犬が肥満になり体格が大きくなると、血液を全身に送り込む力がさらに必要になり心臓に負担がかかります。

また、肥満により増加した内臓脂肪や脂肪細胞が気管を圧迫することで呼吸器疾患を起こしやすくなることも考えられます。

肥満がどんどん進行すると呼吸困難で通常の生活も送れない状態になりますので、飼い主さんは、愛犬が肥満にならないように注意してあげてください。

食事だけで健康状態を維持することは難しくそのため人間同様、ワンちゃんにもサプリメントを摂取することをおすすめします。

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  1. 遊んでいてもすぐに疲れる
  2. 呼吸が早い(寝ているときも)
  3. 食欲低下・咳をする
  4. 散歩や運動を嫌がる
  5. 小型犬
  6. シニア犬
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関節、腰への負担

犬が肥満になると体重も増加していきます。

その結果、体を支える足や関節への負担がかなりかかることが考えられます。犬は老犬になると関節疾患を患いやすいのですが、肥満も併発しているとさらに関節疾患の悪化の原因となります。

また、ヘルニアになったことがある犬も肥満に注意です。

肥満は腰にも負担をかけてしまいます。

若いうちからしっかりと体重管理を行っておくことが、こうした関節疾患やヘルニアを悪化させないためにも必要となるでしょう。

膵炎、糖尿病のリスク

肥満になっている犬は、体内の脂肪分が多いため高脂血症になっていることも多いです。

高脂血症は、膵炎を引き起こしやすくなると言われています。

また肥満は、膵臓の機能を低下させインスリン分泌量を抑えてしまうため、血糖値が上昇し続けます。その結果として糖尿病になることも多いです。

膵炎や糖尿病は、最悪の場合命に関わる病気です。

飼い主さんは、しっかりと肥満対策を行い病気を予防してあげるようにしましょう。

寿命が短くなる

犬の肥満は寿命を縮めます。

理想的な体格の犬は、肥満傾向の犬と比較して約2年も長生きするという研究結果が報告されています。

これには、さまざまな併発疾患を起こしやすいことが関与している可能性が考えられます。

肥満は、万病の元となる生活習慣病です。

飼い主さんは、愛犬が肥満にならないようにしっかりと予防してあげることが大切になってきます。

犬の肥満を予防するために食事以外で大切なこと

ここまで、犬の肥満に対する食事のポイントや肥満と病気、寿命との関連性について解説してきました。

肥満を予防するためには、食事をしっかり管理することが重要ですが、そのほかにも以下のような点に注意してあげることが大切です。

  • 適切な運動習慣を身に着ける
  • 定期的に体重測定をする

それぞれについて解説していきます。

適切な運動習慣を身につける

愛犬の肥満を予防するためには、運動を行い基礎代謝を上げて消費カロリーを増やしてあげることが大切です。

飼い主さんは、毎日愛犬を散歩に連れだしてあげるようにしましょう。

散歩は、朝夕1日2回で、20分程度散歩させてあげてください。

また、散歩以外にも運動させることは大切です。

ドッグランや公園でいっぱい走らせてあげたり、ボール遊びを一緒に行ったりして愛犬がしっかり運動できる環境を提供してあげましょう。

定期的な体重測定をする

愛犬の肥満の状態を知るためには、定期的な体重測定は欠かせません。

体重の経過を追うことにより、きちんとダイエットできているのか、肥満になっていないかどうか判断することができます。

動物病院の体重計が正確に計測できるので、体重測定は動物病院で行うのがおすすめです。

しかし、なかなか動物病院を受診することができない人もいるでしょう。

そういった方は、おうちで体重を計測してあげてください。

獣医師

愛犬を抱っこしたまま体重計にのり、その値から人間の体重を引いてあげると犬の体重がわかります。

飼い主さんは、このように体重測定する習慣を身につけるようにしてください。

まとめ

本記事では、犬の肥満に対する食事のポイントや病気や寿命との関連性、肥満を予防するために飼い主さんができることについて解説してきました。

本記事のポイントをおさらいしておきましょう。

  • 犬の肥満には、食事管理が重要
  • 肥満はさまざまな病気のリスクとなる
  • 運動や体重測定を習慣化する

飼い主さんは、愛犬の肥満を対策するために食事管理や普段の生活での運動などを心がけて行うようにしましょう。

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